心と体、小さな冒険〜私のグリーンツーリズム〜
先生なのか、農家の人なのか、何かお話をしている。
私はまだ小さいからよくわからないけれど、
「おいもは葉っぱの下の土の中にあるんですよ」とか、
「スコップで傷つけないように掘りましょうね」ということを
言っているんだと思う。
いくつも畑のある広い敷地の一角で、私たち園児のおいも掘りが始まった。
まわりの様子をうかがいながら、葉っぱに触れ、茎に触れ、引っ張ってみる。
そんなんじゃ出てくるわけないから、やわらかい大地に手を伸ばし、土を掻き分けていく。
どんどん、どんどん。
あ!見えた。
その瞬間から、しばらくこの世界にあるのは自分と目の前のおいもだけ。
手のひらをめいっぱい茶色に染めながら、
大きいおいも、小さいおいも、いろんなお顔にこんにちは。
「?」
ふと気づいた、左足のヘンな感覚。
目を落としてみると、ふくらはぎの側面に9センチくらいの立派なイモムシが、
私の足の長さをゆ〜っくり測ってる。
「………。」
びっくりしすぎて声も出ない。
「うわアアアアアア!見て見てん!」
私の代わりに近くにいた男の子が声をあげてくれた。
帰り支度、お母さんが作ってくれた布のきんちゃく袋に収穫を詰め込む。
重たいし、小さくてよくわかってないから、
それを引きずって歩いてしまって底に穴。それだけで残念な気持ち。
家に帰ると、お母さんは私の収穫を、おいもの天ぷらや大学いも、おいもごはんにして
美味しく食べさせてくれた。
* * *
先日グリーンツーリズムのことを書いたのですが、
考えてみれば今までに自分も何度か体験しているよな〜と振り返り、
蘇った記憶をつなげて今回はお話風に。
大地に触れること、いやな虫に出会うこと(好きな人もいるだろうけど)、
採れたての収穫物を食べること…
いいこともいやなこともひっくるめてグリーンツーリズムの魅力なんだなと
自分なりに再確認。
何よりも、その思い出が温かく心に残っている。
それがグリーンツーリズムのすごいところなんじゃないかなと思いました。
by mame